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鈴木霞山(1917)「西園流改訂音譜 尺八独習案内  第二編」

国会図書館で公開されています.

(著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開)

鈴木霞山「西園流改訂音譜 尺八独習案内  第二編」
1917年(大正6年)2月28日第4版 かすみ會

Kazan01  Kazan02
西園流の尺八曲譜です.記譜はロツレチ式です.ただ曲譜を見ると,文字が独特で,慣れないと読めません.

印刷者兼発行者は名古屋市在住ですが,本書の発売は米国サンフランシスコ市の「かすみ會」です.本書にはサンフランシスコ市の日本人経営の商店・歯科医の広告が掲載されています.本書には近刊として筝曲・地唄23曲の音譜の広告も掲載されていますので,当時のサンフランシスコ市でも相当数の尺八愛好家がいたのでしょうか.


緒言
1914年(大正3年)に「尺八獨習案内 第一編」を出版した後,これを改訂増補した本書「第二編」を発行したとのこと.そして,「本書公刊の趣旨とする所は専ら當流尺八の普及を目的」として,そのために「音符記號を従來の音譜に比して各段の完全を保(ほ)し随て最も綿密に而も解し易く所謂(ゆえん)理想的好伴侶たらしむ」としています.一方,「本書中掲載の俗曲端唄等は稍(やや)其本領とせざる懸念なきにしも非(あらざ)れ共要は同好初學者は導くの一助として補ひたる物」と注意しています.

尺八の流派
早川衣水の序文.棚瀬栗堂の注記によると衆議院議員早川龍介(衣水)は兼友西園および内田紫山に師事し,序文としてこの節を執筆したのだそうです.これによると,「兼友西園翁が生前の時代に措てはまだ流派なる唱(となへ)はなかった」,「然れ共西園翁が尺八の音聲に於て五十餘年間苦心したるは(ウ)の音(おん)と(チ)の音(おん)なり」,「尺八は(中略)。今時に於て強(しゐ)て流派を唱ふるものとせば西園流なるものは慥(たしか)に一種の流として特色あるものである。其特色は翁が尤も苦心せられし(ウ)音(おん)なり。」,「西園翁が手付をせられし曲の譜に顕れし譜字に(ウ)音(おん)の多きを以て然り。」と,西園流での「ウ」音の重要性を述べていますが,これは実際に同流でて付されている曲の旋律を解析してみないと判断できません.

尺八に就て
尺八について「這(こ)は寧ろ後節[日本固有の物との説明]に據(よ)らん」としています.「中古専ら虚無僧と云へる行脚僧の市井を徘徊して吹奏なし・・[中略]・・現今は専ら箏,三味線等と合奏するを以て主眼となすの状態にあり」と,本書発刊当時の状況を記しています.

尺八と寸法の事
普通は一尺八寸を用いるものの「吹奏曲譜の場合又は流派の相違により」一尺七寸から二尺二寸等が用いられるとしてます.また「箏,三味線等と合奏に適用せらるるは」一尺八寸または一尺九寸とのことです.

甲音乙音の事
甲音は「一段息を強く吹く」,乙音は「一段息を緩めて吹く」と説明しています.

沈(メリ)浮(カリ)の事
「沈」は「其音符に當る指頭を半月形に下部に半開すると同時に顎を少しく内側へ引いて吹く」として,メリは吹込みと孔の半開の両方の調節によるとの説明です.また「沈」は「通常大メリ,中メリの二種となす」としています.「浮」は「普通音にて吹奏するより一段顎を前方へ押し出して吹く」としています.


緒言
尺八の流派 早川衣水
  
[注記] 浪越 棚瀬栗堂
  尺八に就て
尺八と寸法の事
尺八吹奏法の事
尺八音符の名稱
甲音乙音の事
沈(メリ)浮(カリ)の事
間拍子記號の事
休止符の事
複音譜と運指法の事
雑種記號の事
尺八と三味線の調子合法
尺八と筝の調子合法
西園流改訂増補尺八獨習案内(第二編) 鈴木霞山編
  本曲竹しらべ
  
[俗曲・端唄等 26曲]
  (地唄の部)鶴の聲,黒髪,雪,六段,千鳥の曲

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