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石井如月(1916)「尺八教本」

国立国会図書館で公開されています.

(著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開)
石井如月「尺八教本」
1916年(大正5年)4月10日 ノボル樂友會
Ishii01  Ishii02
本書は都山流の譜で書かれた初学者用の楽譜です.

緒言」には,当時までに尺八が長足に進歩していること,初学者のための教科書に良書が少ないこと,尺八に諸派があるものの記譜法が最も進歩しているものは都山流であることが書かれています.

運指は下に掲載された図にみられるように正確に図示されていますが,欲を言えば,孔の半開とメリが別々に記述されているので,初学者は少々戸惑うかもしれません.

Ishii03

楽譜で表記された各曲の音程はほぼ正確です.

甲(カン)乙(オツ)及沈(メリ)浮(ハリ)の事」にオクターブの吹き分けが次のように書かれています.「甲(カン)とは唇を縮めて息を細く強く吹込み高音を發する事なり 乙とは息を大く弱く吹き込み低音を出すを云ふ」.オクターブの吹き分けに,息の強弱が言われているものの,息の太さに言及された最初の説明の様に思います.

また,同じ章でのメリカリの説明は以下です.
(沈(メリ))とは顎を少しく内方へ引き入れて其音小さく弱く吹くべし
(浮)とは顎を少しく前方へ突出し其音大きく強く吹くべし
(沈)とはメイルの意にして浮とはハリアゲルの意なり
音高の変化に言及されていないのが不思議ですが,前提としての基本知識を期待しているのでしょうか.メリカリの音の大小についてのこの説明は,初学者は誤解するかもしれません.


緒言
目次
吹奏法
音譜
 普音譜,半音譜,特殊音譜
拍子記號
 普通符,半加符
休止記號
 普通休止符,半加休止符
甲(カン)乙(オツ)及沈(メリ)浮(ハリ)の事
雜記號
合奏の注意
複譜運指法
曲譜
 ノボル樂友會編 
[24曲]


緒言
其れ尺八は我國古來の樂器にして近時我樂壇の興隆と共に長足の進歩をなし廣く其眞價を世人に知らるゝに至れり然るに之れが師導たり師友たるの良書の寥々たるは頗る遺憾の事に属す編者は即ち此要求に應じ尺八初習者の爲に本書を提供す尺八流行の今日其流派頗る多きも中尾都山先生の都山流及東都の琴古流を第一とす以上兩派共何れも本書に示す(ロツレチ)の譜を用ふれ共各々其特長ありて其間に多少の相違あり就中最も進歩せるは都山流なり故に本書も専ら都山流に依ると雖著者の未だ浅學なると唯々宗家の正流を辱しめざれば幸甚
編者識

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