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水野郁道(1913)「尺八早まなび」

国会図書館で公開されています

(著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開)

水野郁道「尺八早まなび」
1913年(大正2年)9月11日 東京尺八講習会

Mizuno01  Mizuno02
本書は琴古流で一般に用いられるロツレチ式の記譜が採用されています.

はしがき」には本書が「初めて尺八を吹いて見やうといふ人」を意図して書かれていると述べられています.一方,「然し尺八は此[この]本にある樣な。軍歌や唱歌。はやり歌。ばかりを吹くものではありませんから」として,本書で尺八に慣れた後には「正確な教師に就いて稽古」するようにと指示しています.もしそれができない場合のために東京尺八講習所の通信教授を紹介しています.

メリは顎による音程の調説ではなく,指孔の半開で説明されています.本書の楽譜の分野であれば妥当な説明だとお思います.

使用する尺八には,1尺8寸管または1尺9寸管が推奨されています.


目次
解説
尺八と各部分の名稱
尺八の保存法
尺八の持ち方
容易に尺八を鳴らす法
「カン」「呂」。甲。乙の事
尺八の音符
半音の事速度と吹奏法の記號
完全なる尺八撰擇法
尺八孔割の寸法圖解 尺八早まなび(練習曲)
 追分節
(唱歌の部)君が代,桃太郎,お月さま,花咲爺,風車,鳩ポツポ,兎と龜,鐵道唱歌
      織なす錦,螢の光り,金剛石,散歩唱歌,自然の美,箱根の山
(軍歌の部)四百餘州,敵は幾萬,我海軍,水雷艇,凱旋
(俗曲の部)梅が枝,數へ歌,いそぶし,まがいいぶし,東雲ぶし,高い山,松盡し,かつぽれ
(長唄の部)勸進帳,越後獅子,鶴龜


〇「カン」「呂(りょ)」。甲(かう)。乙(おつ)の事
「カン」といふは「ピー」といふ「カンバシリ」たる音。「呂(りょ)」は「乙(おつ)」ともともいふ「ボー」といふ音の事である。
[以下略]

〇尺八の音符

[前略]
音符の上に(メ)の記號を附してあるものは其音符の一番上(レなれば二の孔。チなれば三)の孔を少し明けて半音低く吹くのである(中)と記したのは「中メリ」で(カ)と記したのは普通の音よりも高く(カリ)で吹くものである

〇完全なる尺八撰擇法
長サ 尺八には種々の長さのものがありますが。先ず曲尺(かねさし)で「一尺八寸」か又は「一尺九寸」のものが宜(よ)いので。是よりみじかければ三味線に合いませんから無論駄目です。是より長いのは差支へなし。然し寸法の一尺八寸五分とか。一尺九寸三分という樣な半端なものは價(ね)は安いが二人で共に吹く時は一分でも寸法が違へば調子が揃はぬもの故寸法の揃つたものを買はねばなりません
太さ 普通は一番上の節とその次の節との中間で廻(まは)り三寸五分以上三寸八分位迄のものが適當です
節 七節で三と四の間に下から第五の節があるものが上等です
[以下略]
孔 手孔は次の樣な割合で開けてあるものでなければいけませぬ 一尺八寸の尺八なれば下より一の孔の中央迄が三寸九分。孔と孔の中央から中央迄が一寸八分。四の孔の中央から五の孔の中央までが一寸三分になるのであります
Mizuno03

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