« 門付芸講演会 | トップページ | 神如道 「如道叢書 尺八古典本曲指南」 »

町田櫻園(1910)「改訂 尺八獨案内」

町田櫻園(1910)「改訂 尺八獨案内」

初版:1900,  30版改定版:1910

林 盛林堂


Machida01 Machida02 Machida03

簡単な記述の解説の後に曲譜が掲載されています.

曲譜は横書きで,音名は漢数字.
音名は尺八の指使いに対応しているのでななく,以下のように西洋音階に対応しています.
  ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
  一 二 三 四  五 六 七 一
 (ヒ フ ミ ヨ  イ ム ナ ヒ)
そして,「本調子」と「三下り調子」の場合には
  琴古流の「ロ」が「七」,「ツ(メ)」が「一」,「ツ」が「ニ」・・・
と対応しています.一応ドレミには対応していますが,基音に相当する「一」が尺八で最も音の出しにくいツのメリ音というのは,理解しがたいものがあります.
また,厄介なことに,「二上り調子」の場合には,
  「リ(半メ)」が「一」,「リ」が「二」,「ロ」が「三」・・・
とされ,調子(=音階)により音名と指使い(=実際の音程)とが異なります.かなり難しい記譜です.伝統音階を,無理に西洋音階に合わせたことによる困難さではないでしょうか.


目次

 尺八
 曲の事
 奏法
 本書音符の事
 合奏の事
 音の長短



目録

  岡崎女郎衆 (三下り)
  一つとや (二上り)
  潮來でじま (本調子)
  梅とさくら (本調子)
  明(あけ)の鐘 (三下り)
  淀の車 (本調子)
  夕ぐれ (本調子)
  春雨 (二上り)
  京の四季 (本調子)
  清元北洲 (本調子)
  弓八幡 (平調子)
  山ざくら (平調子)
  よし原雀 (三下り)
  高尾 (三下り)
  三番雙(そう) (三下り)
  老松 (三下り)
  朝妻船 (平調子)
  雛鶴 (三下り)
  汐汲 (二上り)
  六段 (平調子)
  都獅子 

 本調子の部

  宇治は茶所
  鶴の聲
  雪は鞆(ともへ)
  梅にも春
  我もの

 三下りの部

  我が戀は
  助六
  江の島
  越後獅子

 二上りの部

  富士の白雪
  伊勢音頭
  よせのはやし
  *猫ぢや
  *木曽ぶし
  いそぶし (本調子)
  十日ゑひす
  すいかぶすいか (三下り)
  すとらいき (本調子)
  春はうれしや

    *:目次にはあるが楽譜は無い

|

« 門付芸講演会 | トップページ | 神如道 「如道叢書 尺八古典本曲指南」 »

コメント

基音は「一」ではなくて「三」です。
本調子なら
三 四 六 七 二 三  三 一 七 六 四 三
ミ ファラ シ レ ミ  ミ ド シ ラ ファミ
レ ウ リ ロ ツ レ  レ ツメロ リ ウ レ

掲載曲は知らない曲はかりなので「五」がどのくらい出てくるのか分かりませんが、伝統音階では使われない「五」を省いていないので一見ややこしいようですが、階名の単純な一対一対応なのでごく自然で無理はありません。

一二三(ヒフミ)を音名ではなく階名としてあつかっているので調子(=音階)によって指使いがかわるのですが、これは錦風流の裏吹きと同じことで、新しいことではありません。合奏を考えているのであれば、相手の調子に即座に対応するためには必須の練習です。
ここでは尺八を普通に楽器としてとらえているということでしょう。

投稿: ペリー | 2017年5月25日 (木) 05時55分

コメントをいただき,ありがとうございました.

諸事情で暫く手付かずですが,近いうちにまとめて整理するつもりです.

投稿: 矢頭 | 2017年5月25日 (木) 22時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 門付芸講演会 | トップページ | 神如道 「如道叢書 尺八古典本曲指南」 »