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六花軒主人(1905 再版)「尺八獨習新書」の序文

序文と著者前書きを下に掲載します.いずれも前書の上村雪翁(1895)「尺八獨案内」と同じ執筆者で内容もほぼ同じですが,簡潔になっています.

本文は前書から僅かな字句修正がありますが,それ以外は同文です.

尺八獨習新書序

管絃記云馬融状(二)長笛(一)空洞無(レ)底■[エン:けずる](二)其上(一)五穴一穴出(二)其背法(一)大概節一ツ籠テ一尺八分ニ切ル故ニ名トス 節ヨリ下七寸上三寸八分ナリ然シ竹ノ太細ニ因リテ調子違フ故ニ常在ヲ定マラズ音色ハ笙,筒音ハ黄鐘調ナリ左手ハ上,右手ハ下,指遣ヒハ三十二品篳篥ニ同シ 歌口の濕樣笛ニ同シト而シテ尺八ノ傳説古來諸書載ル所區々一定セスト雖モ大宰純ノ説確實ナルカ如シ其經濟■[録の旧字]ニ云尺八ハ漢以後の樂器ニシテ聖徳 太子ノ頃我朝ニ舶來セシモノナリト而シテ往昔ハ多ク高貴ノ人々ノ愛翫セラレシヤ吉野拾遺近代世事談等ニ考ミテ明カナリ雅友六花軒雪翁君既ニ耳順此器ノ妙手 近頃世ニ流布スル尺八譜ノ粗雑反ツテ初學者ヲ誤ラシムルモノアルヲ慨シ翁ガ一流ノ吹奏譜ヲ編セラレ書肆ニ命シテ活字ニ印セメ予ニ示サル其譜ノ正確雅趣翁ノ 自ラ責ヲ負フテ立タルゝ深切實ニ斯藝初學ノ寳書ナリ聊カ尺八ノ由来ヲ略言シ以テ序ニ代フト云爾

明治廿八年蘭月中澣六花軒雪翁師ノ道場ニテ

天民 川原閑舟謹誌



本書(ほんしよ)は充分(しうぶん)初學者(しよがくしや)獨習(どくしふ)の便(べん)に供(きやう)せん爲(ため)總(すべ)て予(よ)が家符(か ふ)を以(もつ)て長短(ちやうたん)緩急(くわんきふ)振曲(ひんきよく)の音節(おんせつ)を示(しめ)し他書(たしよ)に勝(まさ)るとも劣(お と)らざるの結構(けつかう)を以(もつ)て當時(たうじ)流行(りうかう)の俗曲(ぞくきよく)に合奏(がつそう)したる卑近(てぢか)の曲(きょく) に十數番(じふすうばん)の秘曲(ひきよく)を併(あは)せ載(の)せたれば遺憾(ゐかん)なきが如(ごと)きも尺八(しやくはち)吹奏(すいそう)の技 (わざ)たる獨習(どくしふ)以(もつ)て秘奥(おうぎ)に達(たつ)するは難(かた)し故(ゆゑ)に本書(ほんしよ)の全(ぜん)部を吹奏(すいそう) し得(う)るを以(のつ)て足(た)れりとする勿(なか)れ學者(がくしや)若(も)し其の秘奥(おうぎ)を極(きは)めんと欲(ほつ)するものゝみなら ず本書(ほんしよ)載(の)する處(ところ)のものなるも吹奏(すいそう)し難(がた)しと思惟(おもひ)せば予(よ)が茅庵(いほり)を訪(もと)へ

難波小澤橋畔六花軒 上村雪翁 謹述

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