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夏目漱石「行人」

青空文庫に掲載されています.

夏目漱石「行人」(1912)

主人公の独白として物語が進みます.

主人公が,知人の三沢が入院したという知らせを受け,彼が入院してる病院を訪問しました.その病院の雰囲気を記述するために尺八が使われています.

三沢は看護婦から病院のAという助手の話を聞かされていた。このAさんは夜になって閑(ひま)になると、好く尺八(しゃくはち)を吹く若い男であった。独 身(ひとり)もので病院に寝泊りをして、室(へや)は三沢と同じ三階の折れ曲った隅にあった。この間まで始終(しじゅう)上履(スリッパー)の音をぴしゃ ぴしゃ云わして歩いていたが、この二三日まるで顔を見せないので、三沢も自分も、どうかしたのかねぐらいは噂(うわさ)し合っていたのである。
看護婦はAさんが時々跛(びっこ)を引いて便所へ行く様子がおかしいと云って笑った。それから病院の看護婦が時々ガーゼと金盥(かなだらい)を持ってAさ んの部屋へ入って行くところを見たとも云った。三沢はそういう話に興味があるでもなく、また無いでもないような無愛嬌(ぶあいきょう)な顔をして、ただ 「ふん」とか「うん」とか答えていた。

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