« 弦間耕一(2013)「<改訂>甲州の虚無僧 聖と俗の世界」 | トップページ | 宮城道雄記念館 »

越後妻有にて

新潟県十日町市の山間部で,10年ほど前から越後妻有(つまり)「大地の芸術祭」が開かれています.ここでオーストラリア大使館が主催してオーストラリア人アーティストのための芸術拠点を作っていて,昨年,この目的での専用施設「オーストラリアハウス」が建設されました.

山間地で集落を少し離れた場所に建設されました.滞在型のアート拠点です.

今日,オーストラリアに縁のある知人(日本人)が来越したので,山の中をドライブしてオーストラリアハウスを案内してきました.

十日町地域の山間部は雪がまだ少し残る新緑の季節でした.オーストラリアハウスはまだ開館しておらず,訪れる人もなく,時折,向かいの道路を車が通っていくだけでした.

彼の目的は,オーストラリアハウスを見ること,私の目的は戸外で誰に邪魔されることもなく尺八を思い切り吹くことでした.

彼がひとしきり写真を撮った後,1時間ほどオーストラリアハウスの前で尺八を吹き合いました.

人の活動による音がほとんど聞こえないという稀有な場所です.風もほとんどなく穏やかな日でした.しかし一方,数え切れない種類の鳥の声が,絶え間なく揺らぎながら聞こえてきました.

屋外で尺八を吹くことには懸念がありました.以前に狭い和室で尺八を吹いたとき,尺八から発するすべての音が畳,障子,天井に吸収され,まるで裸で歩くような不安を感じました.屋外はもっとそのようではないか,という懸念です.

音を出してみて驚きました.オーストラリアハウスを前にして,また背にして尺八を吹くと,オーストラリアハウスの壁に音が響いて周りの空気が震えるのです.知人が林に向かって吹いたところ,音が林に吸い込まれるのではなく,林の中に音が響くのです.いずれの場合も,室内楽用に作られた音楽ホールのような過剰な残響ではなく,尺八の音が周囲の空気を震わすような印象でした.二人とも驚きました.

これは全く予想もしていなかった,非常に気持の良い体験でした.やみ付きになりそうです.

Dsc00579

|

« 弦間耕一(2013)「<改訂>甲州の虚無僧 聖と俗の世界」 | トップページ | 宮城道雄記念館 »

その他」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 弦間耕一(2013)「<改訂>甲州の虚無僧 聖と俗の世界」 | トップページ | 宮城道雄記念館 »