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越後妻有にて

新潟県十日町市の山間部で,10年ほど前から越後妻有(つまり)「大地の芸術祭」が開かれています.ここでオーストラリア大使館が主催してオーストラリア人アーティストのための芸術拠点を作っていて,昨年,この目的での専用施設「オーストラリアハウス」が建設されました.

山間地で集落を少し離れた場所に建設されました.滞在型のアート拠点です.

今日,オーストラリアに縁のある知人(日本人)が来越したので,山の中をドライブしてオーストラリアハウスを案内してきました.

十日町地域の山間部は雪がまだ少し残る新緑の季節でした.オーストラリアハウスはまだ開館しておらず,訪れる人もなく,時折,向かいの道路を車が通っていくだけでした.

彼の目的は,オーストラリアハウスを見ること,私の目的は戸外で誰に邪魔されることもなく尺八を思い切り吹くことでした.

彼がひとしきり写真を撮った後,1時間ほどオーストラリアハウスの前で尺八を吹き合いました.

人の活動による音がほとんど聞こえないという稀有な場所です.風もほとんどなく穏やかな日でした.しかし一方,数え切れない種類の鳥の声が,絶え間なく揺らぎながら聞こえてきました.

屋外で尺八を吹くことには懸念がありました.以前に狭い和室で尺八を吹いたとき,尺八から発するすべての音が畳,障子,天井に吸収され,まるで裸で歩くような不安を感じました.屋外はもっとそのようではないか,という懸念です.

音を出してみて驚きました.オーストラリアハウスを前にして,また背にして尺八を吹くと,オーストラリアハウスの壁に音が響いて周りの空気が震えるのです.知人が林に向かって吹いたところ,音が林に吸い込まれるのではなく,林の中に音が響くのです.いずれの場合も,室内楽用に作られた音楽ホールのような過剰な残響ではなく,尺八の音が周囲の空気を震わすような印象でした.二人とも驚きました.

これは全く予想もしていなかった,非常に気持の良い体験でした.やみ付きになりそうです.

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弦間耕一(2013)「<改訂>甲州の虚無僧 聖と俗の世界」

山梨県笛吹市の郷土史家弦間耕一氏が乙黒明暗寺について一冊の本をまとめられました.
この本に資料を提供された葛山幻海氏からご紹介いただき,早速入手しました.
今年の4月30日に発行されたばかりの本です.

まだ,ななめ読み程度で,詳しくまだ読んでいないものの,乙黒明暗寺にかかわる具体的な人の動きが記述されていることは,さすが地元の郷土史家と感心しました.また,虚無僧の歴史についても,予断なく,これまでの研究成果を踏まえておられて,良いことと思いました.

購入は葛山幻海氏の以下のHPからできることになっています.
  葛山氏HP:購入用ページ

虚無僧の歴史に興味のある方はどうぞ.

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弦間耕一(2013)「<改訂>甲州の虚無僧 聖と俗の世界」甲斐郷土史教育研究会

一 普化宗の変遷
二 普化宗の尺八
三 普化宗の本則(教義)免許
四 普化宗寺院の編成
五 掟書
六 虚無僧の人々
七 虚無僧をめぐる騒動
八 乙黒村明暗寺留場・取締場
九 乙黒村「宗門人別改帳」
十 明暗寺と新宿法身寺
十一 合鑑
十二 補足 資料

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志村哲「地無し尺八の可能性  ~祈りから未来へ~」

浜松楽器博物館のコレクションシリーズとして発売された志村哲氏のCDを入手しました.

コレクションシリーズとしては3枚目のCDで,すべて浜松楽器博物館所蔵の地無し尺八を使用して本曲を演奏した録音です.

今回は異なった尺八で同じ曲を演奏するという,ある意味「実験的」な録音でした.

ただ,私のCDプレーヤーの環境が良くないこともあって,長さの違い以上の楽器の差異を聞き分けるのは簡単ではありませんでした.楽器の違いを鮮明に聞き分けるためには実際の演奏を,演奏中のお隣で聴く必要があるかもしません・・・差異が最も判るのは演奏者だけかもしれません.尺八の演奏には,演奏技術の味わいが実際上はほとんど演奏者しか判らないということはしばしばありそうです.

そうは言っても,聴いていてとても気持ちよく感じる尺八が一管ありました.ひょっとしたら志村氏はこういうところを感じ取って欲しかったのかもしれません.

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「地無し尺八の可能性
 ~祈りから未来へ~」 浜松市楽器博物館 LMCD-1961

高橋悠治「偲」 使用楽器:小林照明「枯淡」2尺9寸管
明暗真法流本曲「艸霧海ジ」 使用楽器:伊藤虎眼「名残の竹」1尺8寸管
高橋悠治「偲」 使用楽器:三世俣野真龍「古可良志」2尺管
明暗真法流本曲「艸嘘鈴」 使用楽器:近藤宗悦「舞蛟」1尺8寸管
高橋悠治「偲」 使用楽器:近藤宗悦「舞蛟」1尺8寸管
明暗対山派本曲「瀧落」 使用楽器:小林照明「瀧落」3尺3寸管

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