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岡本綺堂「半七捕物帳 十五夜御用心」

またまた青空文庫に掲載されている虚無僧が出てくる文学作品です.

初出年が明確ではないのですが,おそらく1930年頃(昭和初期)の作品です.

「十五夜御用心」は半七捕物帳全69話のうちの第46話

半七捕物は江戸末期の設定です.「十五夜御用心」では江戸の向島で虚無僧が巻き込まれた殺人事件が起きます.向島といえば今ならスカイツリーのお膝元ですが,当時は「暗い森があって物騒」な場所だったようです.

事件の内容はもちろん書けませんが,「虚無僧は寺社奉行の支配で町方では迂闊に手をだせない」ことが,この小説の中で虚無僧が事件に巻き込まれる理由の一つになっています.岡本綺堂は良く調べていますね.

「半七捕物帳」も,それ以前に岡本綺堂も今回初めて読みましたが,面白いですね.一気に読んでしまいました.

=====一部引用;
 その言葉が終らないうちに、彼の襟髪は何者にか掴まれていた。はっと驚いて見かえる間もなく、彼は冷たい土の上に手ひどく投げ付けられた。いよいよ驚いた彼は、顔をしかめて這い起きながら見あげると、その眼の前には虚無僧 すがたの男が突っ立っていた。自分を投げた男ばかりでなく、ほかにも猶ひとりの虚無僧が女を囲うように附き添っていた。
 相手は二人で、しかもそれが虚無僧である以上、相当に武芸の心得があるかも知れないと思うと、元八は俄に気怯(きおく)れがして、彼らに敵対する気力もなかった。虚無僧は無言で立っていたが、天蓋の笠越しに屹(きっ)とこちらを睨んでいるらしいので、元八はいよいよおびえた。彼はからだの泥を払いながら、これも無言ですごすごと立ち去るのほかはなかった。

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