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岸田國士(1929)「取引にあらず」

先週末の連休に風邪をひいてしまって,それ以来フラフラしていました.ようやく昨日あたりから動けるようになりました.

さて,青空文庫に掲載されている尺八が使われている文学作品です.

岸田國士「取引にあらず」.初出は1929年(昭和4年).おそらく同時代を描写した戯曲です.

街の煙草屋が舞台です.この煙草屋にも外国製煙草の注文が入ったり,近隣の玉突屋が繁盛したり,近所にカフェがあったりと,当時の時代の雰囲気が描かれています,

戯曲のストーリーは書けませんが,尺八の評価と価格が軸になるストーリーです.たいしたことのない安い尺八の価格として1円~1円50銭,もっといい尺八として2~3円という価格が書かれています.歴史的な経緯をもつ最上級の尺八の価格として300円が示されています.300円は別として,おおむね現在の2万~3万分の1くらいの価格かと思います.

物価が比較できないので試しに米価で比較すると,1929年ころの米価が10㎏で2円くらい,これが現在おおむね3500円ですからほぼ1800倍の差異です.現在は米価は農家の経営が成り立たないくらいに安くなっていますので,米価の上昇は小さすぎると思いますが,一方,そうは言っても,尺八はかなり高価になっていると思います.

===一部引用===「バット」:煙草の「ゴールデンバット」
又蔵  いらつしやい。
若い男 あの、僕、今一寸、持ち合せがないんですが、家へ帰つてすぐ持つて来ますから、バツトを二つばかり貸しといてくれませんか、その代り、これ、尺八ですけれど、それまでお預けしときますから……。
又蔵  さやうですか。お家は、どちらで……。
若い男 すぐそこです。蓮華寺の横町です。家へ帰つて出直して来てもいゝんですけれど、僕、それまで我慢ができないんです。ぢや、一つでもよござんすから……。この尺八、まさかバツト一つぐらゐぢや放せませんよ。

===一部引用===

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