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技藝通信社(1935)「邦樂家名覧全集 第一刊 關西現代尺八家名覧」

技藝通信社(1935)「邦樂家名覧全集 第一刊 關西現代尺八家名覧」技藝通信社

国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで公開されています.
(著作権保護期間満了)

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愛知,三重,和歌山,大阪,京都,滋賀,兵庫の尺八関係者の名簿です.なぜか奈良県が抜けています.

琴古流,大日本竹道學館,都山流,上田流,竹保流,千代美會,川本羽竹美會,晃山流の八流派が掲載されています.この中には現在に著名な方の先代の名前が見られます.ここに見られる山岸芦水という方が,私が最初にお世話になった方の先代になります.

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名簿の整理がとても大変だったというほど掲載人数が多かったということ,また邦楽全般の名簿作成という一大プロジェクトの最初が尺八演奏家の名簿だったということですから,当時の尺八界は盛んだったのでしょう.

尺八製管師の広告の中に「虚無僧用具」や「編笠一式」の販売がふくまれています.1935年には商売が成り立つほど購買者がいて,堂々と虚無僧姿の人物が街中にあったということでしょう.

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編者のことば

[前略]

現有勢力七流派約千三百餘師家を筆の先にのせて見て驚いたといふのは,實にその動静の頻繁であること,先ず昇級昇格,指南開始休止,變名改號,住所移動,等々,それこそ一と時の静態もなく實に目まぐるしい異動ぶりは流石に破竹の管界を想はせるに充分である,が編者は人知れず大汗ダク.

[中略]

固よりこの第一輯『尺八家名覧』は數ある邦樂(筝三絃,長唄,舞踊,清元,常盤津,哥澤,小唄,琵琶,浄瑠璃,謡曲等を)いづれ編纂して『邦樂家名覧全集』を完成するその初陣の初發彈であるとして,まことに勝手な申分ながら先ず最初の『花を飾らせてやりたい初刊』のお心組で萬事の點にお目こぼし願うひたい.

毎年二月發行として來年度第二輯は完全なものを御目にかける豫定,に限り二千部印刷,誌上掲載者と廣告先及び筝曲家への配本で豫定數あり勝手ながら御一名十部以内に御辛抱を乞ふ.

編者誌す



凡例

[前略]

愛知,三重,和歌山,大阪,京都,滋賀,兵庫の二府五縣の七流派約千三百餘名を掲載したもので,その他約五百の掲載洩はあるが,土地の關係調査の都合等に依るもので次刊行第二輯には全部掲載の豫定である.

[後略]

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齋藤真一氏「瞽女シリーズ」

上越市立総合博物館で齋藤真一氏の瞽女シリーズの展示会が開催されるという案内を.....町を歩いているときにたまたますれ違った主催者から教えていただきました.

これは北海道在住の池田敏章氏の個人旧蔵品を中心とした展示です.

池田氏が魅せられたように,私も,齋藤氏の絵は瞽女さんの唄声を最も良くキャンバスに描きこんでいるように感じます.

かつて齋藤氏の絵を見たとき,齋藤氏が描いたような音,特にこのパンフの表の絵に描かれたような音を私の尺八で出すというのを一つの理想と考えていたことに気が付きました.

私の演奏はもっぱら本曲ですからこれは少し奇妙ですが,尺八の本曲で直裁的な宗教性を目指していないということでしょう.

本曲を演奏される方でこれに同意される方は殆どおられないでしょうが,それはそれ,これはこれ,いろいろな感性があります.

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日置昌一(1936)「日本系譜綜覧」改造社

国立国会図書館近代デジタルアーカイブに公開されている資料です(著作権保護期間満了).

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序文に書かれているように,本書では日本史の理解のために系譜が非常に重要なものとして,皇室御系譜,皇族御系譜,朝鮮歴代御系譜,国内の著名家系等の系譜から始まり,宗教,学問,芸能,武術,工芸など様々な系譜が調べられて,まとめられています.その最後が相撲で,そのひとつ前に尺八と筝曲の系図が掲載されています.

でも,尺八の都山流の系図が少しおかしいような・・・・?


 [前略]わが國に於ては古へ氏姓制度の上に世官世職の時代があり,非常に氏族的要素が濃厚で,降つて近世に至つても幕府を始め諸藩の官職も世襲であるのが多くして,明治維新までへあ氏族制度は拂拭し得なかつた.これは政治方面のみでなく,宗教學術文藝の諸方面に於ても宗統門流が尊重せられて來た.されば,わが國の歴史を尋ねる上には,系譜の研究は缺くべからざるものである.[以下略]

昭和十一年仲秋      相州魚游山荘にて
                   日置 昌一

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和歌山縣知事官房統計課(1932)「旅は紀州路」和歌山縣

和歌山縣知事官房統計課(1932)「旅は紀州路」和歌山縣

1932年10月25日発行(著作権保護期間満了)

国立国会図書館の蔵書です.

1932年(昭和7年)に和歌山県庁が編集して発行した和歌山県のいわば公式ガイドブック.
同年に紀勢鉄道が大阪から田辺市(紀伊田辺駅)まで開通しました.おそらくそれを記念して,大阪からの観光客を呼び寄せようという意図だろうと思います.

48ページのこの本には,和歌山県内の名所旧跡観光地の説明があり,その中に興国寺の記述があり,虚無僧の寺として紹介されています.

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はしがき

[前略]いままで比較的交通に惠まれなかつたため紀州の風向に絶大の憧れを持ちながら行く得ぬ人も多かつたであらう.しかしながら今や紀勢鐵道は湯花(ゆのはな)の香りただよう田邊まで開通した.[中略]史蹟と傳説の國紀州に足を運ばうではありませんか.


虚無僧の本寺 興國寺

興國寺 紀勢鐵道由良驛の近くにある,臨濟宗で興國元年後村上天皇より賜ふた地名である法燈國師の開基で尺八を業とする虚無僧を大唐より召され歸朝し給ふた故に虚無僧の本寺として知られてゐる許りでなく佛象の中には國寶に指定せられたものもある.

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葛飾北斎 (承前)

そういえば・・・・

葛飾北斎といえば,「富嶽三十六景」の中の「程ケ谷」に虚無僧が描かれていることは良く知られています.

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また,安藤広重の「東海道五十三次」の中の「保土ヶ谷」の中央にも虚無僧っぽい人物が描かれています.何か共通するものがあるのでしょうか?
場所柄,横浜の虚無僧寺の西向寺が近いといえば,近いのですが,ハテ?

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一方,葛飾北斎の「東海道五十三次」の中の「坂の下」(現:三重県亀山市)に,虚無僧っぽい人物が天蓋をとって女性の前でくつろいでいる(?)姿が描かれています.

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以上,すべて著作権保護期間満了の作品ですので,ネットからダウンロードしました.

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葛飾北斎「北斎漫画」

葛飾北斎「北斎漫画」(復刻版)1878年 片野東四郎

毎年,春と夏に小布施に行くことが年中行事になっています.そして,この連休にも行ってきました.今回は久しぶりに北斎館に入りました.同館のミュージアムショップで北斎漫画の画集を販売していたので何気なくページをめくっていると,尺八奏者と虚無僧の絵が目につきました.そこで帰宅してから国立国会図書館の近代デジタルライブラリーの北斎漫画を検索してみました.

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葛飾北斎は,ご存じのとおり,幕末の異才で,晩年に長野県の小布施で一時期をすごしています.北斎漫画は,徒然に描いたスケッチ帳のようでもあり,絵の手本帳のようでもあり,一方,出版後は当時のベストセラーになりました.1814年(文化11年)に1編が出版されてから,増刷されたり,また続編も出版され,結局最後の15編は明治になってからの1878年(明治11年)に出版されています.

2編の九折めに庶民の男性たちが楽器を演奏している図があります.このうちの一人の楽器が縦笛で,楽器の詳細はわかりませんが,消去法で考えると虚無僧尺八型の尺八と思われます.

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3編の十七折めに,多数の人物画と動物画があり,これらがどういうまとまりなのか何とも言えませんが,その中に突然に,虚無僧が尺八を吹きながら歩いている図が描かれています.

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13編の十一折めに3編と同じ虚無僧の図があります.こちらは「略筆の編」の一部となっていて,3編の図よりは簡略に描かれています.こちらの図では帯刀しているようにも見えます.

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ところで,北斎漫画は活き活きとした筆致で庶民の生活が描かれていて大変に面白いので,尺八・虚無僧は別にしても,是非,見てください.

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