« 演奏会「白い道」 | トップページ | 小山慶太(2012) 「寺田寅彦」 中公新書 »

上参郷祐康(1995)「糸竹論序説 -日本音楽論考自選集」

01_3
尺八の歴史が門外漢の私にも良く判るように非常に良くまとめられています.この本は上参郷氏の主に1980年前後の論文をご本人が選んだものです.残念な がら私家版で,公刊はされていません.近年まで根強く残っていた普化宗や虚無僧にまつわる俗説を排し,文献の分析にもとづく考察が行われています.このこ とは今ではそれほど驚くことは無いのですが,そうなったことにはこのような上参郷氏たちの業績が寄与しているのでしょう.

この本は,私にとっては,近世以降の尺八に関係した文献の解題にもなります.虚無僧や尺八の歴史はもともと関係した文献資料が少ないこともあって,ここに 書かれた記述でほぼ完成していて,細部の一部が補強されることはあっても(注),今後に大きく書き換えらえることはないだろうと思います.その意味では尺 八の歴史に興味を持つ者には大変良くまとまった便利な本です.

ここに掲載された論文のいくつかは,以前に読んだことのあるものでしたが,このようにまとめて読むと良く理解できます.

    注:たとえば,保坂裕興氏の虚無僧の起源に関する研究


目 次


邦楽の可能性
   『伝統と現代』第六巻(1969)
音楽の日本的趣味 -アジア諸国との比較において
   『朝日アジアレビュー』第32号(1977)
日本音楽の近世化
   『伝統と現代』第二巻(1971)
尺八楽略史 -吹禅の理解のために
   『吹禅―竹保流にみる普化尺八の系譜』(1974)日本コロムビア・レコードアルバム
宮廷行事と雅楽
   『日本の古典芸能』第二巻(1970)


山口の大内文化と音楽 -記念碑「箏曲組歌発祥之地」と大内氏に殉じた楽人たち
   『季刊邦楽』第51号(1987)
俗箏調弦の考案について -筝柱に膠しなかった八橋検校
   『楽道』通巻544号(1987)
尺八音楽の性格
   『音楽教育研究』第12巻(1969)
琴古流の始祖 黒沢琴古
   『季刊邦楽』第10号(1977)
中塚竹禅と『琴古流尺八史観』
   『琴古流尺八史観』(1979)
神如道の魅力
   『古典本曲の集大成者,神如道の尺八』(1980)テイチク・レコードアルバム
一節切尺八≪すががき≫≪りんぜつ≫の復原 - 『紙鳶』の解読
   『沖縄の箏曲―付,本土音楽との関連』(1973)ポリドール・レコードアルバム
胡弓と尺八 -三曲合奏の変遷
   『胡弓―日本の擦弦楽器』(1976)日本フォノグラム・レコードアルバム
宮城道雄における不易と流行
   『宮城道雄の世界』(1993)
復原された“まぼろしの楽器”八十絃
   『季刊邦楽』第19号(1979)
上参郷祐康著作目録
上参郷祐康略年譜
あとがき

|

« 演奏会「白い道」 | トップページ | 小山慶太(2012) 「寺田寅彦」 中公新書 »

尺八資料」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 演奏会「白い道」 | トップページ | 小山慶太(2012) 「寺田寅彦」 中公新書 »