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鈴木孝道「尺八獨習自在 全 (第三版)」

奥付では1894年発行の「第三版」となっていますが1893年発行版の「第三刷」の意味だろうと思います.鈴木(樋口)が京都に移ったのが1886年 (明治19年),東福寺善慧院に明暗教会が結成され,鈴木(樋口)が訳教(尺八指南役)になったのが1990年(明治23年)ですから,この本はその明暗 教会揺籃期の出版ということになります.

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本の標題では「尺八」となっていますが,本文ではその語は用いられず専ら「洞簫」と呼んでいます.

しかし,どこかで見た様な本だと思ったら,竹腰一朗(1893)「尺八指南」と,本のサイズも,表紙の造りも,表紙のデザインも,全体が折本であることなど,殆んど同じでした.それもそのはず,この2冊は同年の発行で,しかも同じ印刷所(たぶん製本所も同じ)でした.

いずれの本も最初に尺八の演奏法の基本の説明が書かれ,それに続いて,本の大半を使って,楽譜が掲載されています.鈴木本の楽譜リストを以下に掲載しますが,「*」の曲は竹腰本と共通の曲です.

共通の曲があるということは,当時の流行の曲を選曲したということなのでしょうが,やや明暗教会との関係で違和感のある曲もふくまれています.私の個人的感想ですけど.

鈴木本の各譜面には必要に応じて演奏法の注が付けられています.

鈴木本では最後に本曲の巣鶴曲が掲載されています.そのルビは「すうつるきよく」です.これは現在の明暗導主会譜での「鶴巣籠」です.両者の譜はほとんど同じで,段の対照は以下のとおりです.

明暗導主会譜と鈴木譜との比較

  鶴巣籠      巣鶴
   前吹  →   (なし)
   初段  →   初段
   二段  →   二段
   三段  →   二段(三段の誤植?)
   四段  →   三段(四段の誤植?)
   五段  →   (なし)
   六段  →   四段(五段の誤植?)
   (なし) →   五段(六段?)~八段は省略(注)
   七段  →   九段

   注:本書によれば,「是より八段迄ハ意味深くして譜面にてハ通し難くに付除く」


西洋の樂器は專ら巧緻を機械に要(をさ)め我邦の樂器は主(お)もに妙趣を手練に歸す故に邦樂を學ふは洋樂を習ふが如く容易ならず洞簫の如き殊に然り良師 に就き多年の練磨を經てこう初めて其妙趣を解し得(う)るなれ獨習して其(その)境(さかい)に至らん事ハいと\/難(かた)き事なりさえは此書の如きも 只斯道(このみち)に遊ばんとする人のために其端緒を開くにすきずとしるへし

十日惠美須(とうかえびす) *
權兵衛種蒔(ごんべいがたねまく) *
萬歳(まんざい) *
高イ山(たかいやま) *
算明曲(さんめいきよく)
琉球節 *
梅ケ枝 *
詠歌
棚の達磨
淺くとも
大津繪節
慰世節(うきよふし)
惚れて通ふ
京四季(きようしき)
唱歌
金毘羅船節
丹後の宮津節 *
海安寺
浮世すてゝ
今樣
巣鶴曲(すうつるきよく)

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コメント

西園流の「鶴の巣篭」とほぼ同じですね。いわゆる外曲巣篭です。最初3行が今の西園の譜にはありませんが、このところは西園も譜によって少し違うので・・・。
やはり鶴の巣篭りは人気があったんでしょうね。
いつかはこれをやってみたいっていう有名曲だったのでしょう。

そのほかの俗曲はだれもが知っている人気曲で尺八でちょっと吹いてみたい曲なんでしょうね。
算明曲は明清楽ですね。

あのころのはやり歌というのも一度聞いてみたいと思います。

投稿: ろめい | 2011年5月16日 (月) 22時25分

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