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私立多紀郡教育会編「多紀郡風俗調査」

国立国会図書館所蔵の文献です.

私立多紀郡教育会編「多紀郡風俗調査」
1916年(大正5年)  辻広三郎・私立多紀郡教育会発行
(著作権保護期間満了)

1916年(大正5年)に発刊された兵庫県多紀郡の風俗を記録した本です.兵庫県多紀郡は現在の兵庫県篠山市で中国山地の東端に位置し,京都府と隣接する場所です.山村が連なる地域です.

著者は「私立多紀郡教育委員会」とのことですが,「私立」とはどういう意味? ともかく該当地域の風俗・生活についての多岐にわたる詳細な記述です.郡内 の学校長から提出された報告書に基づいて取りまとめたものとされています.学校長がかかわっているせいか,全体的に西洋道徳的な価値観が感じられます.

尺八については「第八,娯楽」の項に以下のように記述されています.

七,琴,三味線,笛,尺八等
 琴は少数なる上流婦人のみに奏せらる.三味線は浄瑠璃に連れて往々稽古せられて居る.尚娯樂以外なれど,篠山及其附近或は路傍の飲食店などで,職業的に 三味線を弾くものは無論多い.而して篠山町及其附近では通學中の女児までが,父母に命ぜられて此の稽古をして居るのがある.横笛,尺八等は特に之れを好む 青年などが時々奏するけれど,其數は少い.


大正時代になると都会では吉田晴風らが新しい尺八音楽の運動を盛んに始めていて,海外にまで目を向け始めていた時代ですが,地方,とくに山村ではこのような状況だったのでしょう.

楽器としては,このほかに以下が記載されています(以下,大意);

  太鼓神輿:祭礼での演奏だけれど,祭礼が簡略になってきているので,太鼓神輿も幾分下火になっている.

  謡曲:維新後に顧みられることが無くなったがこのころやや復興してきた.

  琵琶歌:演奏者が少しいる

  浪花節:おもに青年が歌い,流行の兆しがある.

  浄瑠璃:維新後に衰えたが,一部の地方では相当に行われている.

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