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竹腰一朗(1893年)「尺八指南」

竹腰一朗(1893年)「尺八指南」を入手しました.76ページの小さな折本です.120年近く前の本ですが,非常に保存状態の良い本で,感動しました.このような本を入手してしまったので,保管の責任を感じています.著者の竹腰一朗は大阪の人です.

序文には,虚無僧免許の「本則」に現れることもあるような,尺八賛の文章が書かれています.この文章は,藤田松調(1910年)「尺八音譜解説」の序文に良く似ています.

尺八譜はフホウエ式.音名と指使いの説明の項にはメリの説明が出て来ませんが,ビブラート(著者は「息まわし」と言っています)の説明には,「カリメリカリメリ・・・」と書かれていますので,「メリ」は初学から普通に使われているものと思われます.,楽譜の項の後半に出来る伝統曲と思われる曲では,音名の横に「メリ」という注釈も書かれています.

口絵を下に示します.写真では判りませんが非常に美しい印刷です.ただ・・・この状況はどのような場面なのでしょうか.私の尺八もこのような麗しい女性が隣で聴いてくれるといいのですが・・・ ところで,尺八の二人,両者とも逆手なのですが・・・はて?

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尺八指南

尺八長者清項軒近藤宗悦門人 竹腰一朗著

自序
夫れ尺八には天地の徳全く備る者にして即ち管の丸きは天の徳なり管の方なるは地の徳なり歌口は半月にて月の形ち管尻は丸く日の形ちなり表穴は春夏秋冬なり一季九十日宛四ツ合して三百六十なり裏穴は土用とす四季にましへ十八日ツゝなり四季の一季を節にて云へは一季七十二日ツゝなり故に五ツ合して三百六十日となる天地自然の妙道なり表穴春夏秋冬に裏穴の土用をましへて指を運ぶ故に無量の音律生するなり五ツの穴は木火土金水なり指の變化するは相生相尅なり十二律は十二ケ月なり七節は東西南北」天地人なり七節に表裏あり表裏あれば四七二十八宿を表す定寸は尺八寸にて一越の調子なり表裏宿して三尺六寸なり三十六禽を表すまた表裏及四方に倍すれば七十二候なり歌口に陰を形とり管尻に陽を形とるは陰陽合體なり天地の徳全く備えたる器人是れを吹ときは天地人の三才に叶ひ萬國類ひなき妙器と云うべし
明治壬辰仲冬    竹腰一朗識


尺八吹様之傳
十二譜不備遣ひ並五調子の事
拍子間之傳
甲乙吹樣之傳
息まはし並息ゆる傳

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