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ピゴット著「日本の音楽と楽器」の原本

昨日(13日)から今朝(14日)にかけての一昼夜で80センチほどの積雪がありました.当地でのこれまでの約10年の生活経験から40センチ×3日の積雪には対処できる準備がありましたが,1晩での80センチには驚きました.生粋の地元人ですら慌てていました.それでも職場は通常どおりですから,たいしたものです.さすがに私は午後4時に早退して自宅の雪かきをしましたけど.

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さて,ピゴット著・服部訳「日本の音楽と楽器」の原本を入手しました.Francis Taylor Piggott (1893) "The Music and Musical Instruments of Japan"です.著者のピゴットは音楽の専門家ではないのですが,この本を検索している中で,どうも国際法の専門家らしいことが判りました.同年輩の英国人で数冊の国際法の本を書いている同姓同名(middle nameも同じ)の人物がいました.

あらためて尺八について読んでみると,著者にはこの明治初期にすでに尺八の演奏に触れる機会が多くあったようです.そして,尺八はほとんどが独奏に用いられて,多数の独奏曲が伝えられていると書いています.この曲は箏の曲とは全く違った起源をもつ曲と書いていますので,いわゆる虚無僧本曲(琴古流などの本曲を含む可能性もある)のことでしょう.この「多数」の具体的な記述はありませんが,一方で三味線の「唄」の伝承は少ないと書いています.これはおそらく間違いで,そんなはずはありません.それにしても,少なくとも,三味線の演奏と比較できるだけの尺八の独奏曲(おそらく本曲)に著者が触れることができたとは言えるでしょう.これは少ない数ではありません.

さて,著者は尺八にほれ込んでいます.やわらかな音,美しい音と,絶賛しています.それをどのように表現していたかを知りたくて原本を入手したのです."mellow notes", "beautiful sound", "soft clear tone", "the mellowest of wind instruments","sweet (sound)"などがもともとの記述でした.さて,著者はどんな演奏を聴いたのでしょうか? 今の私の演奏とは少し違う様な印象を受けます.

この時代,西洋では日本は非音楽的な国の一つと考えられていたようです.著者もそのように記述しています.ところが,著者のその見方を払拭させたのが,来日直後の夜の中禅寺湖で聞いた尺八の"soft clear tone"だったという経験を語っています.このために著者は,その後の一部の日本の邦楽演奏家に見られる皮相な西洋ロマン派音楽崇拝の傾向とは違って,真摯に邦楽の世界に向き合うことができたのかと思います.

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コメント

ピゴットを検索していて、Yatouさんのブログを見つけました。拙ブログに、ピゴットのことを少しずつ書いていくつもりです。お暇な折に遊びにきてください。

投稿: かぐら川 | 2013年3月12日 (火) 19時55分

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