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瞽女宿

連休中に大山真人(1981)「ある瞽女宿の没落」(音楽之友社)をひととおり読みました.先日,古本屋さんで入手した本です.瞽女は旅の途中では大地主の家に宿泊し,この宿を瞽女宿といいます.この本はこの大地主を記録したノンフィクションです.私の近所の話で,余所者の私でも知っている地名が多くでてきます.北陸の大地主の財力と権力は私の想像をはるかに越えるものでした.

彼らは江戸末期時点での財力を元にして田畑を取得して地主となり,明治初期の地租改正で地主としての地位が「法的,制度的に保証され」,所有地を更に拡大してゆき,大正期に絶頂期を迎え,第二次大戦後の農地改革で終焉を迎えました.このような地主が瞽女を迎え入れ,瞽女宿として宿を提供し,小作人たちに娯楽を提供していました.明治・大正期の農村にはたいした娯楽もなく,瞽女の来訪は村を上げて歓迎されていたようでした.一方,地主の家では「夏休みになると・・・前庭の涼み台の上では,毎夜星空のもとで,(家の)下男(たち)の吹く尺八の『追分』や『佐渡おけさ』『さんかい節』に耳を傾け・・・」ということもあったようです.しかし昭和になってラジオが入りはじめるとこれが新しい娯楽になって瞽女を迎える雰囲気にやや変化がみられはじめ,その後に戦争期になると「芸者や芸人の存在そのものを否定する空気が強く」なり,そして戦後に瞽女宿だった地主が没落することで,旅芸人としての瞽女も終焉の時期をむかえました.

「尺八」が出てきましたが,この文脈に思いをはせれば,「虚無僧」は世俗の世界からは全くのアウトサイダーだと,あらためて,つくづく思いました.

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