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古本購入

年末から年度末にかけて仕事も私事も熱病にうかされたように進めてきましたが,ふと,このままでは心身に変調をきたすと気がつき,しばし万事に休憩.お久しぶりです.

さて,一昨日,都内某所に出かけたついでに古本屋に立ち寄ったところ,以下の2冊を発見.早速,購入しました.
  1)上原六四郎「俗楽旋律考」(岩波文庫)
  2)藤田俊一(1962)「吉田晴風の一生」(日本音楽社)
とても良く整理された本屋さんで,あまり時間がなくてつらつら見ながら探しただけだったのですが,簡単に見つかって驚きました.

1)は1992年の再版本です.今は絶版ですが岩波書店のことですからいずれ再版されるでしょう.兼常清佐の丁寧な解説が付いています.

2)は,ひととおり読み終えたら,尺八史の調査・研究をされている方にお譲りしても良いかと考えています.

なお,同じ本屋さんで,大山真人(1981)「ある瞽女宿の没落」(音楽之友社)も見つけて入手しました.これは,今,私が住んでいる町のかつての大地主豪農の繁栄と農地改革後の没落についての,瞽女宿という視点からのノンフィクションです.

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小川儀蔵「尺八獨稽古」

小川儀蔵「尺八獨稽古」1891年(明治24年)

三回目の小川儀蔵「尺八獨稽古」です.明治中期以前の貴重な文献です.奥付をみると小川は名古屋近辺の人です.残念ながら時代の雰囲気を伝える緒言などはありません.掲載されている楽譜は地唄と本曲のみ.このうち本曲は以前に書いたように西園流のように思われます.

月溪(2000 注)によると,樋口対山は1885年(明治18年)ころに名古屋から京都に移り,1890年(明治23年)の明暗教会設立に尽力し,同年に対山または鈴木孝道の名で「大本山秘曲本手」として「嘘鈴」と「嘘空」の木版刷り楽譜を出版しています.この状況を考えると,小川の譜が現在の京都明暗寺対山派の譜とほとんど同じこともあり,対山はこの小川譜とほぼ同じ曲をを習ったのではないかと思われますが,どうでしょうか.

巻末に譜の全国の販売書店が列挙されています.その中に私の知っている本屋があるのに驚きました.遠江浜松(現浜松市)の谷島屋,水戸市の川又限造(たぶん現川又書店)です.他は知りませんが,これらは明治初期からの本屋さんなのですね.

注:月溪恒子(2000)「尺八本曲の研究」出版芸術社

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中尾都山「尺八音譜解説」

中尾都山「尺八音譜解説」1908年(明治41年)竹琳軒

国立国会図書館の明治時代文献から中尾都山「尺八音譜解説」の一部を私のHPに入力しました.

都山流楽譜の解説書です.この後に発行される楽譜の凡例が書かれています.緒言では「尺八を學ぶもの都鄙の別なく甚多し」とし,一方「其多くは徒に音色を弄するに過ぎずして律呂に叶ひ樂理に適するもの甚だ尠少なり」と言っています.同時期の教則本の緒言のほとんどが同じことを言っているのですから,そういう時代だったのでしょう.

この本で特徴的なことは,凡例で「地歌(琴歌)を統一する當道音樂會に於て正確と認め用るものを本位として作譜せり」としていることで,同時代の類書が地唄の曲は統一されていないので合奏の場合は楽譜を修正して糸方に合わせるようにとの注意書きがあるのとは異なります.また尺八譜は合奏について「離れては合ひ合しては離れる事之れ合奏の上乘なればなり」として作譜されているとのことで,たしかに琴古譜等他の多くの譜とは作譜の姿勢が異なるようです.

巻末に楽譜の広告がありました.
  中尾都山著の地唄の「尺八音譜」
    黒髪,千鳥の曲など4冊
    六段,越後獅子など4冊が近刊予定
  中尾都山編 地唄の「ヴァイオリン音譜」
    千鳥の曲,残月など22冊
   「近刊続々発行」予定
驚くことに地唄の「ヴァイオリン音譜」が多数発行されていて,しかも尺八譜より先行しているようなのです.「春の海」で琴とヴァイオリンの合奏バージョンがあることは知っていますが,地唄について何故ヴァイオリンなのかが私にはよくわかりません.尺八の参入以前から胡弓が合奏していたものの,今から思えばヴァイオリンの相手はハープくらいが良かったのではないでしょうか.尺八演奏家の都山に尺八とハープでの筝曲,せめてその組合わせで「春の海」という発想はなかったのでしょうか? ところでこの「ヴァイオリン音譜」は版を重ねているようなので結構売れていたように見えます.需要があったんだ!

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