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夏目漱石:草枕

文学作品の尺八シリーズ:その5

初出:1906(明治39)年

主人公が画材を携えて山道を歩き,温泉宿に逗留していたとき,馬子が主人公にかつて山の中の湖に身を投げた美しい庄屋の娘の話をします.虚無僧がその庄屋の家に逗留したときに虚無僧を見染めましたが,庄屋が結婚を認めないため悲しんで湖に身を投げたというものです.この昔話が主人公がその時に逗留していた温泉宿のなにやら秘密のありそうな娘の身の上話と重層していきます.

この話では,虚無僧は「梵論字(ぼろんじ)」と言われます.さすがに梵論字では理解されないと思ったか,漱石は主人公に「虚無僧の事かい」と確認させています.「虚無僧」に恋の話では不気味になりますので,「梵論字」という摩訶不思議な言葉を使用したのでしょうか.山里にも虚無僧が来ていた(と,小説中で設定しても無理はない)こと,旅の虚無僧を庄屋が歓迎(?)して宿泊させていた(と,小説中で設定しても無理はない)こと,虚無僧が若い娘の恋の相手になるような若い男性だった(と,小説中で設定しても無理はない)こと,かといって虚無僧は庄屋が婿に迎えるような対象ではなかった(と,小説中で設定しても無理はない)ことなどが,読み取れます.

参考:青空文庫HP

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コメント

梵論字ということば昔の映画でもよく使われていた記憶があります。
ここに解説があります。
http://www.yo.rim.or.jp/~kosyuuan/kosyuan/iida/iida7.htm

投稿: しんた | 2006年12月11日 (月) 14時36分

梵論字(師),暮露...などは,虚無僧尺八をやっている人は誰でも知っている言葉でしょうが,それは少数派で,一般人は説明されないと判らないのではないでしょうか.これは明治期でも同じだったから漱石は「虚無僧」と言い換えさせているのだろうと思いました.むしろ漱石がこの言葉を知っていることに感心しました.ところで,私は最初のころ,しばらくの間,「暮露=襤褸=ボロ」と思っていました(漢字が難しいので・・・・).

投稿: Yatou | 2006年12月11日 (月) 23時25分

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