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島崎藤村「朝飯」

島崎藤村の1906年(明治39年)の短編に「朝飯」というものがあります(注1).これは,路銀を使い果たした旅人が「私」に助力を求めたことに対して,この旅人が尺八の心得があることを知り,尺八の芸で生活費を得るように言い尺八を買う金を与えたところ,その男は朝食に使ってしまった,というものです.この中で「粗末な竹でもいい,一本手に入れて」と言って10銭を渡しています.さて,1906年(明治39年)には米10kgが98銭です(注2).10銭で約1kgの米が買える計算になります.粗末な尺八なら米1kgで買えたということでしょうか.今,米(標準価格米)10kgは3500円前後ですので,標準的な新品の尺八を買うには約430kgの米が必要になります.なお,この短編の場は長野市近郊の測候所で,旅人は越後から来たということです.この旅人は尺八を新潟地方で習ったとも思えますが,時代的には新潟市で斎川梅翁氏が「越後明暗寺の虚無僧」から曲を習ったのと大体同じ頃になります.

注1:青空文庫HP
注2:静岡農政事務所HP

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