« ピリオド奏法 | トップページ | 林芙美子「泣虫小僧」 »

夢野久作「黒白ストーリー」

文学作品の尺八シリーズ:その3
夢野久作「黒白ストーリー」(注1)

1925(大正14)年の初出.2話から成り,第1話に尺八が出てきます.お琴の名手の美少女と2人の尺八の名手の青年の話です.事件小説の形になっていますのでここではこれ以上は書きません.

この中では尺八の独奏または筝との合奏(地唄?)が描かれ,出てくる曲名は「秘曲中の秘曲『雪』」,「残月」,「鶴の巣籠(すごも)り」,「罌子(けし)の花」です.「鶴・・・」は独奏曲(=本曲?)かもしれません.こうしてみると琴古流が想定されているのでしょうか.

尺八として「秘蔵の名器『玉山(ぎょくざん)』」というものが出てきます.この楽器は「いつも(の尺八と)とまるで違って美しく清らか」な音色とされています.

この「玉山」が盗難にあい,所蔵者から発見者に「金一千円」の報奨金が提案されます.1925年には米10kgが3.11円でした(注2).現在,米10kgは3500円程度なのでこれで換算すると現在の金額で約110万円の報奨金になります.今は100万円近い尺八も市販されていますので,秘蔵の名器への報奨金としては,少々安すぎるようにも思います.それとも現在の尺八が高すぎる? ただ,消費者物価の中での今の米価はかつてより相対的にかなり安くなっていますので,この換算は安すぎるかもしれません.

注1:青空文庫HP
注2:静岡農政事務所HP

|

« ピリオド奏法 | トップページ | 林芙美子「泣虫小僧」 »

その他」カテゴリの記事

コメント

大正時代の尺八の値段
大正12年 琳風社 低級10.00-高級100.00 竹友社川瀬先生水野呂童先生監修琴古流尺八
大正12年青木楽器店低級8.00-高級100.00 青木誠造

ということを考えると最高級管100円の10倍という所ですね。
(米価は別にして)今の感覚からすれば5万~50万くらいで考えるとやはり500万以上の懸賞というところでしょうか。
昭和の頭になると最高級管500円なんていうのもあったようです。

投稿: ろめい | 2006年12月 7日 (木) 22時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186472/12848931

この記事へのトラックバック一覧です: 夢野久作「黒白ストーリー」:

« ピリオド奏法 | トップページ | 林芙美子「泣虫小僧」 »