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尺八の音程

吹き込みを少しずつ修正して発音(と言うのかな?)が良くなると,余裕が出てくるせいか,音程のわずかなズレが気になってきます.または修正の影響で新たにわずかなズレが起きるのかもしれません.今日も,わずかにメリカリを加えたり,それがうまくできない場合(特にヒ甲以上の高音)はわずかに指をかざしてみたりして音程の修正を試みました.

どんな楽器でも音程は少しずつズレていて音ごとに修正するのは当然ですが,尺八での私の場合は,吹き込みの修正をするたびにこのズレが変わるような気がして,なにやらいつも新たな対応をしているみたいです.

ちなみに,五孔は孔から2センチくらいまで指を近づけると,もう音が下がりはじめますね.すっきりした音を作るためには五孔の指は特にきびきびと動かさないといけないと思っています.

今日はいつもの練習に加えて,久しぶりに「松巌軒鈴慕」を練習してみましたが,今までどおりボロボロです.

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コメント

> 五孔は孔から2センチくらいまで指を近づけると,もう音が下がりはじめますね.

私は、五孔が大きい竹も小さい竹も、1センチより近づかないと下がりはじめないのですが、吹き方が違うんでしょうね。

で、音程についていろいろ思うのですが、ひとことで言えば、正しい音程の基準というものは無いということです。
にもかかわらず、中学、高校の音楽部などの教育現場でチューナーに合わせるような指導が蔓延していて、この悪影響がプロのオーケストラばかりか邦楽の世界にも及んでいるのではないかと思うのです。
平均律を採用する音楽的な理由は何もないのに、平均律の音程を基準にするものだから、伝統的な邦楽がのっぺらぼうで風情のないものになってしまう。
微妙な音程が問題になるのは、合奏で音が濁っては困る場合ですが、管楽器がからむと、管楽器の自然倍音列は計算上の純正な音程とずれがあるので、純正率を頼りにすることもできない。平均律でも純正率でもなく、耳で判断する以外に方法はないわけです。
チューナーに頼るとおかしなことになってしまいます。
もうひとつ別の話をしますと、アップライトピアノの高音が良い例ですが、機械で測定すると平均律の正しい音程よりかなり高くなっているのですが、耳で聞くと低く聞こえます。音楽は機械が鑑賞するものではないので、自分の耳を信頼するしか仕様が無いというわけです。

古典本曲の場合は、核音は純正が好ましいかとも思いますが、ツやチのメリカリは旋法間の転調ではなく、節の色合いの変化として捕らえるなら、かなりの幅が必要になってきます。
ツやチのメリカリの音程は、伝承によって異同があって、本来の本曲の姿を求めようとしたときに、どれが正しいのか迷うことが多いのですが、竹や吹き手の意図や気分で大きな幅がある、いろいろな音程があるのが本来だと考えるのが自然ではないかと思うわけです。
たとえば、ウ、ウメリ、ツメリ、ツ大メリ、ツ、レー(Ab,G,Eb,D,F,G-)のような節を素早く吹く場合、機械で測定した音程は多少ずれても、最初のふたつのウは2,4,5孔閉、次のふたつのツはさらに3孔を閉じるのみにすると、(ツ大メリは一瞬かすめる程度になりますが)共鳴する管長が変わらないためでしょうか、音の流れが自然になって耳には違和感なく聞こえる、というような場合もあるのではないかということです。

投稿: ペリー | 2006年9月26日 (火) 02時32分

ペリーさん,コメントをありがとうございます.

平均律を採用することに音楽的な理由はありませんか?

なお,プロのオケが平均律で演奏していることはないはずです.

ちなみに,私個人は,ある旋律が独奏で演奏されているときにそれが純正律か平均律かを聞き分けられませんので,私の尺八にとってはこの差異は意味がないことになります.トホホですけど.

投稿: yatou | 2006年9月26日 (火) 08時26分

yatou さん、こんにちは。

平均律を採用することに音楽的な理由がないというのは、現代物ではない、伝統的な邦楽の場合のことですが、何も良いことはないのではないでしょうか?

このことでどうしても気になるのは、「地歌の半音は狭く」と言われていることです。
三味線のことはよくわからないのですが、これは尺八のツメリ(Eb)の音がほぼ平均律の音程かあるいはもう少し低めと理解しています。
現在、習慣的に広く通用していることなので、良いも悪いもないのですが、昭和30年代以前の録音ではむしろ高いようなんです。テレビで見て思っている程度なので、厳密な話はできないのですが、この音は高めの方が風情があるように感じるのです。
「地歌の半音は狭く」。このようになったのは、時期的に現代邦楽が流行った頃ですから、クラシックの導音の考え方が紛れ込んだのではないかと疑っています。
もし、この推測が当たっているとすれば、クラシックと地歌では主音の意味が同じではないので、そのまま一律に導入するのはおかしい。そもそもクラシックでも導音を高くとらない演奏家もいるのです。ですから地歌の半音は、狭い流派もあれば広い流派もある、といったあたりが健全ではないかと思うのです。

>プロのオケが平均律で演奏していることはないはずです

たしかにないはずであって欲しいのですが、この春に家の娘が生のオーケストラを聴いてみたいと言い出しまして、日本のトップレベルのオケを聞きに行ったんです。
金管楽器の音程がめちゃくちゃで、私は卒倒するのではないかというくらい腹が立ちました。
ラッパやフルートはオケでもブラスバンドでも音程を合わせるのって難しいですよね。それを、なんとか耳で合わせるんですよね。
フルートはちょっとずらしたりもしますが、あくまで耳です。
ところがこのとき聞いたオーケストラはひどすぎました。
過日、娘の高校のブラスバンドの練習を見たのですが、各自チューナーを見ながら、トゥッティでスケールを練習しているんです。わりと普及している方法らしい。
耳であわせないで、目で機械に合わせても、合奏で音が合うはずはありません。この影響がプロのオケにも及び始めているような気がしたのです。孔子ではありませんが、音の乱れは社会の乱れ。こういう時代なんだなあと実感してしまいます。

> 独奏で演奏されているときにそれが純正律か平均律かを聞き分けられません

いや、私も同じです。いわいる絶対音感のある人でないと分からないと思います。部分的に、平均律でやっているな、とか、純正な濁りの無い響きだな、と聞いているだけです。

http://slezak.zive.net/~leo/ongen.htm

上の音源のページにクラシックの音源がたくさん並んでいます。こんなに手軽に聞けたら有り難味がなくなっちまうじゃないの、と熱がでるほど貴重なものがたくさん聴けます。

そのなかにホルンの神様デニス・ブレインのベートーヴェンのソナタがあります。ホルンとピアノって、基本的に音程が合わないですよね。そこをぶつからないようにベートーヴェンは見事に作っています。無理に注意して聞くと、管の自然倍音列の音律とピアノの音律の違いが分かるような気がします。
まあ、演奏がとんでもなく素晴らしいので、素直に楽しんで聴くにしくはありませんが。

http://slezak.zive.net/~leo/maestro_4.htm

ついでに、同じサイトの上のページ、りりー・レーマンは所謂胸式呼吸のソプラノです。自著の邦訳がでていました。

ほかにも面白いものが目白押し。たとえば、

ウラジミール・ロージングの ムソルグスキー。私はシャリアピンより評価しています。

現代流ベルカントの手本を沢山録音したカルーソーは、発声法の大改造前(現代の意味でのベルカンントではない19世紀風)の珍しい歌唱が聞けます。

カルーソー以前の歌手ではタマーニョとデ・ルチア。
前者は録音時点で60歳を出ていたと思うのでちょっと割り引いて聞くとして、およそ録音史上もっとも声が大きかった人。
後者は決して大声を使わなかった(ことになっている)人。

カザルスは、晩年のような臭みのない絶好調の演奏だし、アドルフ・ブッシュの精神的な澄み渡ったヴァイオリンは古典本曲に匹敵するかも知れません。

SP音源でコルトーの音が聞き分けられるだけでも幸福だし、もちろんモイーズもあります。

現代のコンクールを受ければ必ず予選落ちと言われているパンゼラのフォーレとベルリオーズでは、詩を愛して歌うことの素晴らしさが。
シュルスヌスやズレザークは言うに及ばず、舞台に立てばいつも絶不調といわれたビョルリンクの名唱は、いわゆる喉の開いたベルカントを聞き取りやすい声かもしれません。

ハロルド・バウアーの絶妙のフレージングを聞くと私は、私の場合はですよ、古典本曲にフレージングという発想を持ち込むのは難しいものがあると感じます。

こうやって書き出すときりがないのですが、2、3曲でも聴いてみて、まだクラシック音楽が生きていた時代にどれほど趣のある音楽が響いていたか確認なさっても損はないと思います。これらはどの演奏も、現代の偉い先生に聞かせたら、チューナーとメトロノームで基礎からやり直しなさいと言われるようなものばかりでしょう。

これらを聞いていると、琴古流の三曲合奏も、もうとっくに終わっていると感じます。
クラシックよりも趣のない、風情のない邦楽ってやっぱり変だと思ってしまいます。

投稿: ペリー | 2006年9月26日 (火) 18時12分

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