田辺尚雄(1926)「音楽叢書 第11編 日本音楽の研究」

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田辺尚雄「音楽叢書 第11編 日本音楽の研究」
1926年(大正15年)2月21日 京文社


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第七章 國民樂の爛熟   362頁
本章で扱う音楽は江戸時代に盛んになったものが多いが,江戸時代を中心とする音楽については同著者の別書「近世日本音樂講話」に詳説したとのことです.

  三〇 尺八の傳來と尺八樂
この節の前半は雅楽尺八を説明しています.鎌倉時代の中頃に普化宗の僧覺心が宋から尺八を伝え、覺心はこの尺八を用いて普化宗を広め,足利の時代になってこの尺八が管が太くなり,また歌口の形も変化して現在の尺八の形になったとしています.また覺心が宋から普化宗尺八本曲の古伝三曲(おそらく三虚鈴のこと)を日本に伝えたと言います.

江戸時代に黒沢幸八(琴古)が琴古流を開き,本曲三十六曲を完成させたとしています.明治維新後に尺八は一時衰退するものの,東京で吉田一調及び荒木古童(後の竹翁),京都・大阪で長崎出身の近藤宗悦などの努力により,外曲などの普及とともに尺八が隆盛となったと説明します.また中尾都山が都山流を開き,関西から全国に広めたことにも言及しています.


第八章 日本の樂譜
世界の楽譜を以下のように分類し,尺八譜はこの中の(二)に属すとしています.

  (一)特殊な歌ひ方の約束を記す法。
  (二)特殊な楽器の用法を書き表はす法(即ちタブレチュアー)。
  (三)音自身を書き表はす法。
  (イ)馨の抑揚丈けを表はす法。
  (ロ)音の高低丈けを表はす法。
    (a)記號を用ひる法。
    (b)文字を用ひる法。
  (ハ)音の凡ての性貿と表はす法。
    (a)本譜譜-西洋の音符法。
    (b)略譜-西洋のドレミ法、1 2 3法。


  [三八] 特殊な樂器の用法を書き表はす法
    (八)尺八の譜 
 
 444頁
  様々な記譜法が考案されているものの,従来の方法は「ロツレチリヒ等の文字を記し」,これに「唇の特殊な用ひ方や手指の使ひ方等をも記號として加へて記」すものと説明しています.尺八譜の例として「追分節の前唄」の一節が示されています.

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今年の積雪

今年は大雪を経験しました.

私の自宅の気象は新潟県高田AMEDASとほぼ同じで,積雪はそれより若干多い印象です.高田AMEDASによれば1月11日に249cmの積雪を記録しました.しかもその前2日間に170cm超の降雪がありました.ある程度の積雪には慣れていて,それなりの対処ができるつもりでしたが,さすがに今年は困って,ご近所の助けを借りることになりました.

しかし,奇妙なことに今年は暖冬傾向でした.大雪前の1月上旬までは平年値以下の気温でしたが,大雪以降は平年を上回る気温が続きました.このため積雪はよく溶けたのですが,それでもそれを上回る降雪でした.

家の周囲,道の両側には3mを超える雪の山ができ,大雪の1週間ほどは車が使えませんでした.

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文部省宗教局編(1925)「宗教制度調査資料 第16輯 江戸時代宗教法令集」

文部省宗教局編「宗教制度調査資料

 第16輯 江戸時代宗教法令集」

1925年(大正14年)3月31日 文部省宗教局


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江戸時代の虚無僧関係の文書が掲載されています.私は江戸時代の文章を正確に読めないので,以下は要点のみです.

九九 虚無僧覚  117頁
  延寶五年(1677年)十二月十八日
  太田摂津守・板倉石見守・小笠原山城守が発出した虚無僧諸派本寺・末寺宛の文書
    ・本寺の住職を選任する手続き
    ・弟子契約を結ぶ際の手続き
    ・弟子が宗の法令に背いた場合の措置


一六五 虚無僧使用深編笠ニ付触書   185頁
  寶暦八年(1758年)十月の文書 
    一月寺,鈴法寺の虚無僧は深編笠を着用する他に,合印も持参するようにとの指示.


一六六 虚無僧取扱ニ付内達  185頁
  寶暦九年(1759年)閏七月の文書 
    虚無僧姿の偽虚無僧の存在について一月寺,鈴法寺にその対応を求めた.


一六七 虚無僧本則付與之定  186頁
  寶暦九年(1759年) 
    一月寺,鈴法寺の回答


一七八 不法之虚無僧取計方触書  194頁
  安永三年(1774年)正月廿三日 加納遠江守から建部六右衛門に渡された文書
    虚無僧修行の姿をしながら各地で狼藉を行う者がいるので,その者への対応の指示.


二一九 虚無僧取締ニ付触書  234頁
  弘化四年(1847年)十二月二十六日
    安永三年の触書にもかかわらず虚無僧姿で狼藉を行う者が後を絶たないので,そのような者への対応の指示.

 

 

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鈴木皷村(1913)「日本音樂の話」

鈴木皷村「日本音樂の話」

1913年(大正2年)7月12日 画報社

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緒言として書かれている文章の要旨は以下のとおりです.

この諸邦樂も、現代との距離の遠近の度によつては、普く世人に知られないものも多く・・・

邦樂の範囲は斯許り狭いものでもなく・・・世界のいづれの邦に比するも、敢て遜色のない程の長さと光彩とを有するのである。

我民族は、巧みに異邦の學藝技術を収得して、よくこれを國土化せしむるの力を有って居・・・る

斯う云ふ過去と伎倆とを有して居る吾々民族は、またまさに将来に於ても、果して何等かを造り上げなければ止まないことは無論である。



以下,本文です.

第四、歐洲樂輸入時代 : 明治三十年後について記述していて,この中で以下のように当時の尺八の状況が少し言及されています.

この期に入りて名を成した邦樂家にては・・・尺八の樋口孝道(京都)中尾都山、(大阪)河瀬順輔、槍田倉之助、(東京)四氏・・・等の諸氏であるが、同時に前期からこの期に亘つての諸妙人のうち・・・尺八には荒木古童・・・等を失つた。
 

現存諸樂畧解 :楽器ごとの説明です.尺八の説明の要点は以下のとおりです.

第二十五、 尺八

平城天皇、大同四年の官符に、當時諸樂師の中に「尺入」の職員・・・雅樂管楽器の一科としてである。

「一切節」と「尺入」とは同じもの・・・

源氏物語、末摘花・・・この中のさくはちの笛とは、即ち一切節・・・

一切節の説明は省略します.

徳川期の寶暦、明和の頃再興せられ、文化に至つて一思庵なる妙人が出て、其後また漸々衰ヘ、一方更に變形した即ち現今の尺入を出し、明治に至つて故荒木古童氏及び其門弟故福城可童氏の如き名手を輩出した爲め、非常な普及を遂げて現代に及んだ・・・

我邦に於ける傳統」として絲竹古今集の記述を引用しています.

傍廂前篇尺笛の篠」の中で「尺八笛は、長さ一尺八分・・・後々は吹くことはさし置き、いさかひの爲め便利にせんと、一尺八寸にして節を數多にして、竹の根ぎはを切りて一刀のかはりとす」の記述を引用しています.

虚無僧については慶長十九年の徳川幕府の掟書を引用しています.

尺八の現状については「而して本曲の現今に傳はるもの凡二十八九曲、それさへ右規を守るものはないので、獨り京都の樋口孝道氏位を數ふのみだ。現時隆盛を極めつつあるは、悉く琴古流ど稱し、箏曲樂等の各流派に合奏のもののみである。

目下尺八を以て世に稱せられて居る人には、京都の樋口孝道氏(普化流)大阪の中尾都山氏(都山流創始者)東京の二代目荒木古童氏(以下琴古流)初代の高足河瀬順輔、三浦琴童、の二氏及び、槍田倉之助、雅樂家多ノ忠告の二氏である。

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栗原広太(1918)「尺八史考」

栗原広太「尺八史考」

1918年(大正7年)9月20日 竹友社


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参考文献として列挙されているものは以下のとおりです.

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凡例」に「本書は大正五年六月以降尺八考と題して雑誌 「竹友」 に連載したるものに就き附後の發見るに係る史實を追補し編纂の體様を改訂」し,「本書の目的は専ら尺八の一般的沿革を叙述して尺八の本領眞價を闡明ならしめんとするに在り」と書かれています.


本書の内容は以下のとおりです.

緒言
第一編 総説
    一 樂器の種別
        樂器の分類,絃樂器,管樂器,撃樂器
    二 竹属樂器
        竹属樂器,尺八と笛
    三 本邦に於ける笛の略史
        我國笛の略史,固有の笛,唐韓樂の笛の渡來,笛の盛況
    四 唐韓樂の笛
        唐韓樂の笛,中管,横笛・長笛,高麗笛,百済笛,笙,■
[しょう],篳篥,莫目
    五 支那に於ける笛の起源
        支那の笛の起源,邱仲,羌中,黄帝
第二編 尺八の名稱
  第一章 尺八の稱呼
一 ■
[たけかんむりに尺][たけかんむりに八]
    二 さくはちの笛
    三 短笛
    四 尺八管
    五 中管
    六 鋻[けん]笛
    七 楊貴妃
    八 洞■
[しょう]
    九 一節切尺八
    十 小竹
    十一 虚鐸
  第二章 尺八の語源
    一 一尺八寸説
    二 一尺八分説
        古管の寸法,唐の小尺
第三編 尺八の起源
    一 呂才説
    二 囘向寺僧説
    三 張伯説
    四 猿骨説
    附 洞■
[しょう]
         洞■
[しょう]の解
第四編 尺八の變遷
  第一章 変遷の概觀
    一 支那
        支那に於ける尺八の沿革,起源,唐時代の盛況,遼代の樂器,赤壁賦の洞■
[しょう]
    二 本邦
        我國に於ける尺八の沿革,雅樂用尺八,一節切尺八,虚無僧尺八,現代尺八
  第二章 上代の尺八
    一 聖徳太子の尺八
        聖徳太子,法隆寺に傳はる尺八,聖徳太子と音樂
    二 正倉院の尺八
        正倉院の御物,東大寺献物帳,正倉院尺八の形状
    三 西大寺の尺八
        西大寺の尺八
    四 雅樂寮の尺八
        雅樂寮,大同四年の太政官符,嘉祥元年の太政官符
    五 清和朝の尺八
        貞保親王,慈覺大師
    六 源氏物語の尺八
        源氏物語の一節,尺八の中絶
    七 後白河朝の尺八
        後白河朝尺八の再興,信西入道古樂圖の尺八
    八 後深草朝の尺八
        法燈國師,十訓抄
    九 懐良親王の尺八
        懐良親王と尺八
  第三章 一節切尺八
    一 一節切の形状
        一節切尺八の形状
    二 一節切の起源
        一節切尺八の起源,宗佐
    三 一節切の沿革
        一節切尺八の沿革,頓阿作の尺八,朗菴,一路叟,一休禪師,體源抄の尺八,大森宗勲,一節切の全盛期,
        山崎正峰所蔵の尺八,一節切尺八の衰退期
    附 小竹
        小竹
  第四章 虚無僧尺八
    第一節 佛徒と尺八
          上代の尺八一節切尺八虚無僧尺八の各異同ある點,佛徒と尺八の關係
    第二節 虚無僧の起源
      一 暮露
          暮露ぼろぼろぼろんじ、馬聖,暮露の由來,虚無僧の字の古書に見えたる始
      二 薦僧
          虚無僧の由來,虚無の字義
      三 虚無僧の起源に關する諸説
      (一)覺阿の事
      (二)法燈國師の事
      (三)寄竹の事
      (四)金先の事
      (五)楠正勝の事
          楠正勝,正史の正勝事蹟,正勝と傑堂能勝禪師,虚鐸傳記國字解,朗菴
    第三節 普化宗の由來
      一 普化禪師
          普化宗の開祖,普化禪師
      二 普化宗の宗義
          普化宗の本義
      三 普化宗の寺院
          普化宗の流派,普化宗の本寺,一月寺,鈴法寺,番所,普化寺諸役
    第四節 虚無僧の全盛期
      一 慶長十九年の掟書
          徳川禁令考所載の掟書,天保二年鈴法寺提出の掟書,寛政四年兩本寺提出の掟書,兎園小説所載の掟書,圖書管寫本の掟書,
          慶長十九年掟書の疑義,普化宗と仙石騒動
      二 延寶五年の法度
          普化寺住職の事,虚無僧取立の事,本則の授與
      三 寶暦九年の令達
          宗紀振■竹名禁止
    第五節 虚無僧の終末期
      一 虚無僧の跋扈
      二 安永三年の令達
      三 弘化四年の触書
      四 民間の吹管
          虚無僧以外の吹管
      五 普化宗廢止
      附 虚無僧風像の變遷
          徳川時代虚無僧の風俗,虚無僧茶筌を賣る事
    第六節 侠客と尺八
          侠客の尺八
      一 大島逸兵衛
      二 雁金文七
  第五章 現代の尺八
    第一節 現代尺八の性質
      一 樂器時代と法器時代
          尺八の樂器時代,尺八の法器時代
      二 性質上の復古
          尺八の復古
    第二節 尺八勃興の徑路
      一 中央に於ける尺八
      (一)琴古
          初代琴古,岡秀益,二代目琴古,三代目琴古,四代目琴古,琴古流相傳
      (二)吉田耕三(一調)
          吉田耕三,吉田耕三の手記,久松風陽,久松風陽の手記,
      (三)荒木半三郎(古童)
          荒木半三郎,豊田勝五郎,明治初年の衰徴,名士の尺八,長三州と荒木古童,原信存,上原六四郎
      二 地方に於ける尺八
          眞島鶴堂,嘉竹,杉山素扇,津田雪呈,近藤宗悦,木田鶴彦,塚原玉堂,都山流,兼友西園,内田紫山,明暗流,
          村瀬竹翁,岡田魯山
第五編 結論
      一 歴史より觀たる尺八
      二 材料、構造、音等より觀たる尺八
          樂器として觀たる尺八,尺八の材料,尺八の構造,尺八の樂音,尺八の吹奏と精神修養,尺八の吹奏と健康の保全

 

 

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