小林紫山(1921)「尺八秘義」

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小林紫山「尺八秘義」
1921年(大正10年)11月25日 明暗根本道場

(著作権保護期間満了)
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小林紫山(1922)「尺八秘儀」の活字本版です.
本書は小林紫山(1916)「明暗尺八解」京都・明暗流尺八本部に加筆したもので,ほぼ同様の内容になっています.

目次
緖言
尺八の由來
吹奏の心得
吹込の事
メリカリの事
餘韻の事
吹き方研究
運指の心得
結論
附録 音譜解説

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川瀬牧童(1923)「正則尺八の学び方」

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川瀬牧童「正則尺八の学び方」
1923年(大正12年)7月18日 文友社
 
(著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開)

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本書は東京尺八研究会編(1921年)「正則尺八吹奏講義録」(東京尺八研究会出版部)とほぼ同じ内容です.
またこの両書は宇田川孝童・ 尺八教授會共著(1920年)「琴古流尺八講義」(教文書院)とほぼ同じ内容です.ただし,かなり簡素,平易に書き直されています.


目次
一  緒言
二  樂器としての尺八
三  尺八の特長
四  尺八と健康
五  尺八の起源
六  日本に於ける尺八
七  尺八の流派
八  尺八の作り方
九  尺八の種類
一〇 各部分の名稱
一一 音の説明
一二 尺八の音に就いて
一三 初心者の尺八撰擇法
一四 尺八の取扱方
一五 露切について
一六 中繼尺八の取扱方
一七 尺八の持ち方
一八 歌口の當て方
一九 姿勢
二〇 吹き込み方
二一 吹奏中の注意
二二 音譜の説明
二三 記號の説明
二四 最初の練習法
二五 拍子の取り方
二六 最初の唄の選び方
二七 美音を出す祕訣
二八 合奏の注意
二九 合奏の練習法
三〇 三味線と尺八の合奏
三一 尺八と琴の合奏
三二 尺八とヴアイオリンの合奏
三三 三曲合奏の祕訣
三四 終りの言葉
附録 尺八音譜集

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宇田川孝童・ 尺八教授會共著(1920)「琴古流尺八講義」

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宇田川孝童・ 尺八教授會共著「琴古流尺八講義」
1920年(大正9年)12月10日 教文書院

(著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開)

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」には,「抑(そもそも)發明以來二千年、時に盛衰あれど・・・長き歴史を唱(かな)でつゝも深き不遇に置かれたる尺八が復活」して,「近時、長足の進歩をなして一躍隆盛の域に達した本邦樂壇の權威たる尺八界」と書かれています.そして本書の目的は「初めて尺八を吹奏せんとする人、又は深く研究せんとする人の斯道に迷い躓かざらん爲めに、其の研究の方針を示し、吹奏の要領を明(あきら)かにしたるもの」としています.

緒言」には,「尺八こそは全く神州男児の意氣を吐くに相應(ふさは)しい樂器であります」という認識が書かれています.しかし「[尺八はこれまで]ある因襲的な感情の支配の下(もと)に十分誇るに足るべき發展をし得なかつた」と述べています.

尺八の起源と隆盛の原因」では「普化禪師・・・は張伯の・・・竹片に虚鐸と云ふ名稱を與へ・・・此虚鐸が軈(やが)て普化宗の法器となり、我國に傳はつては虚無僧尺八の起源を作つたのであります」という伝統的な説明をしています.以下,「尺八の傳來」「普化宗の法器と虚無僧」「徳川時代虚無僧の尺八」の節においても同様の伝統的な説明が続きます.「徳川時代虚無僧の尺八」の節には,徳川時代末期に普化宗の「秩序が全く破壊」された結果、「此宗は明治四年に廢宗になりましたが、それまでに虚無僧と云へば、直(たゞち)に人々に悪感(あくかん)を催(もよほ)させ、尺八と云へばその付属物として卑しめる因襲的な悪影響を及ぼした」とし、その後「現今になつて漸くその因襲的な感情が軟化して、音樂として獨立した尊厳を保つやうになつた」と記述しています.

尺八と管の長短」には「一尺七寸管は端唄に用ひ、一尺八寸管は琴、一尺九寸管は長唄又はヴァイオリン、二尺管は義太夫」に用い,また「洋樂との合奏には大抵一尺九寸管乃至二尺管を使ひます」と書かれています.

十二音律對照表」には「洋樂のハニホヘトイロ(ハ調1234567)」に対して対照表が示されています.指使いについて指孔の「半開は指を孔の上方へ半分かけること」「翳指(かざしゆび)は孔の横を指にておふひ翳すこと」と,区別しています.
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甲、呂の説明」では「息に些(いさゝ)か力を籠めて唇を締めて強く吹く場合は甲音」「息を太く弱く些か唇を緩めて吹く場合を呂(りょ)音」としています.

カリ、メリの説明
カリについては,「腮だけ少し張り出して十分に息を入れて吹いた時の音(おん)が、カリであります。最も甚しく腮を出した時を大カリと稱します。」.一方,メリについては「孔上(こうじよう)の指の位置を換へずに、僅かに指頭(しとう)を起こして、孔上に翳し、腮を引いて歌口と唇との間をなるべく狭く、甲の時には息を細く強く、呂(りょ)の時には息を細く弱く吹くのをメリと稱」し,「メリの種類としてはメリ、中(ちう)メリ、大(おほ)メリの三種ありますが、一音に付いては何(いづ)れも二種のメリ方だけ」あるとしてます.特にツのメリについては「第一孔を半開にして、腮を引」くとし,「第一孔を開けて吹けば中メリの音が出ます」と説明しています.

補助運指法とは何か」の節に「音(おん)が次の音(おん)に移り行くときに、指で孔を一寸(ちよつと)押して明確にその音(おん)の變化を現はすこと」を「アシラフ」と言い,その指使いを「アシラヒ」と言うと説明しています.

特殊音符の説明」にレの二重甲(=「三五レ」)も説明されています.

合奏の心得」には「尺八家の普通進むべきは現今に於ては專ら外曲の法へであります。それで此合奏によつて尺八の眞價が更に優越なる發展をなし、他の合奏物に比し最も雅味ある音樂として常に上位に立つ傾があるのは眞(まこと)に喜ばしい事です」と書かれています.

ヴイオリンとの合奏心得」の節には「ヴイオリンの細き絃Eを尺八の甲レに、絃Aをリに合わせる」とし,現代の尺八で言えば二尺一寸管相当の調弦が説明されています.さらに「一尺八寸管ではその調子が高くなるのでE線が屡々(しばしば)切斷する故に常に一尺九寸管または二尺管を用ひ」るとしています.これは当時の尺八が現代の尺八より律が高かったとも読めるのですが,そうなのでしょうか? この説明の次に示されている「洋樂譜と尺八音譜」の図はです.この図はその次の「和洋音譜飜譯」の説明とも合致していません.こちらで示されている表は私の理解と合っています.

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林愚郷(堅蔵)(1916)「琴古流 尺八の栞 雑曲音譜集」

林愚郷(堅蔵)「琴古流 尺八の栞 雑曲音譜集」
1916年(大正5年)7月25日 岡村書店


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尺八について,またその演奏方法についてかなり詳細に説明されています.ただ,やや記述が整理されていないため,理解が難しい記述も少なからずあります.「」には古風な虚無僧観・尺八観が書かれています.

尺八の「由來」については「尺八の故事來歴に就ては種々(いろいろ)の説があるけれども確かなものがない。」としながらも江戸期の文献を紹介し,伝統的な尺八史観を紹介しています.また明治期の虚無僧について「明治に入つてから物貰(ものもらひ)の徒(と)が尺八を利用して、俗耳に入(い)り易い歌曲(もの)を吹奏しながら門つけして体よく一文の合力をせがむ樣になつた」と記述しています.これに対し江戸期の尺八については「尺八は古く支那から傳來し一方には法器として僧侶間に傳へられ一方には樂器として中流意所の士人に好愛されて今日に至つたものである」としています.

異稱及び種類」の項には「一般に關東主に東京を中心としては長さ一尺八寸のを用ひ關西並びに九州地方(特に熊本は昔から盛な所である)では長さ一尺九寸のが愛用されてゐる」と記載されています.

製管法」の項には「竹の太さは管の上部に於て周圍大凡四寸乃至三寸、從つて管の内腔(うちがわ)は直徑凡そ八分乃至六分」「管腔の太さを何處(どこ)も畧(ほ)ぼ同樣に穿(く)りぬく、而(そ)して最も下方(した)は稍々喇叭形にするがよい。」と書かれています.孔の位置については「種々(いろいろ)の標準がある、就中解り易い一般に用ゑらるゝ方法は竹全体の長さを十九等分し、」とし,下図を示しています.なお「けれども實際に於ては裏孔は是より稍々上り、『三の孔』は稍々下り目に穿(ほ)つた方がよい樣である、叉三の孔を他の孔よりも心持ち小さく穿る法もあるが一般に孔の大さは同じく大凡直徑三分乃至三分五厘位である」と加えています.

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音律」の項には,「『メル』は又『メリ』トモ云ひ『滅入る』『沈む』の意である、或音(おん)を笛の位置は其儘で腮を少し引く時に其調子は沈んで聞える、之を其音の『メル』調子または『メリ』音と云ふのである、實際に於ては・・・腮を引込めると同時に一定の孔を幾分塞いで調子をメルのである」と,顎メリと指メリを併せて使うという指定です.

拍子」の項の冒頭に「凡そ歌と謡ふ時に最も困難を感ずるものは、音の高低強弱にあらずして各音(おん)を連絡する時間的關係である、即ち曲節(ふし)そのものであって換言すれば拍子である。」と書かれていて,拍子またはリズムがそれほど難しいのかと,現代人の歌と少し違うのかと思います.




天蓋に顔を包むで俗塵を遁れし虚無僧の身は知らず、元禄寶永の昔時(むかし)懐中剣と名づけて尺八を腰間(わうかん)に忍ばせし風流は學ばずもあれ、大正のいま終日の煩勞を忘れて月影淡き夕(ゆうべ)、想(おもひ)を一管の洞■[しょう]に托し七情(こゝろ)を天地の間(うち)にのぶるも亦快(くわい)ならずや。こゝに絶えざること縷(る)の如き響音の一緒を捉へ來つて「尺八の栞」と題す、敢(あえ)て羊頭を掲げて狗肉を沽(う)らむとするものにあらず、唯是れ河鹿(かじか)よぶそら笛たるのみ。
 大正五年
    林愚郷識

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大日本家庭音樂會編纂「通信教授尺八講義録 第壹編,第貮編,第參編」

大日本家庭音樂會編纂「通信教授尺八講義録 第壹編,第貮編,第參編」
第壹編1914年(大正3年)7月1日初版 1920年(大正9年)8月10日改版第50版
第貮編1914年(大正3年)7月1日初版 1920年(大正9年)9月10日改版第55版
第參編1914年(大正3年)7月1日初版 1922年(大正11年)6月10日改版第60版


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大日本家庭音樂會は福岡市にありました.

第壹編
尺八の沿革」では以下のように記述しています.その起源を中国の洞簫とし,国内では聖徳太子が蘇幕遮の曲を吹いたという體源抄の記載が最も古く,その後は専ら武人に愛玩されたとし,また虚無僧は事情により身を忍ぶ者が方便として行っていたものと,伝統的な尺八観を記述しています.明治以降については,「維新後にをきましては所謂ホーカイ屋の樣なものが出まして哀れなるかな尺八も惰落書生に玩弄されましたので一時其品位が下りましたが然し近來に至り音樂の研究が真面目になりましたので其眞の價値を發揮する樣になつて來ました。されば現今に於きましても高位高官の人にて尺八の名人が澤山有ます。」と,当時の状況を反映した記述がさているようです.最後に「要するに尺八なる樂器は我國に於て種々詩的なる歴史を有し且日本人の趣味に最も適合したる樂器であります。」と基本的な認識を述べています.

尺八音の特長」では,尺八音の特長は「節の『コロガシ』であります。」とし,「尺八を以て追分等を吹奏することは各流派における先生達の多くは之を非難してをる樣ですが・・・[中略]・・・日本曲、特に節の『コロガシ』を主體とする曲を吹奏するは尺八を以て最も適當とし且それが又尺八の特長であります」と述べています.

尺八は「普通一尺八寸を最も適當」としています.そして,一尺八寸管の筒音を壹越とし,西洋音譜の「7[=シ]」に当てています.この「西洋音譜」とは音階で,音律ではないようです.

第貮編
メリについては「『メリ』とは『沈』とも書きまして腮を内方に引き込めて吹く事であり・・・手指の穴を變更せずして・・・一律低き音を出す事が出来ます.但此様にメツて出す音は・・・弱く且陰氣な音になります.」,またカリについては「『カリ』とは『浮』とも書きまして・・・腮を少しく前方に突き出して吹くことであり・・・手指の穴を變更せずして・・・一律高き音を出す事が出来ます.但此様に『カツ』て出す音は・・・強く且陽氣な音になります.」と記しています.

指メリについては,「或穴を半月形に開いて吹きますと・・・一律低くなります.こんなにする事を『半月』と申します」と記しています.また「此の二つ[『メル』と『半月』]を同時になすときは二律低くする事が出來る道理であります」と加えています.さらに「『メル』も亦『半月』となすも・・・弱く陰氣な音になります・・・それで開放音より一律低音とする時でも『メリ』と『半月』と兩方をなして吹き其代り『メリ』の方も少くなくし又半月の方も成べく大きくします、かくしますと稍や鳴りよくもなり音も大となります」とし,メリ音での音色の変化は避けようとしています.

第參編
本編は曲の演奏法の解説です.また第四編から第七編までの予告も掲載されますが,いずれも曲の演奏法の解説になるようです.このうち第七編は本曲で,琴古流本曲が取り上げられています.
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各編の巻末には楽譜の出版目録が掲載され,大日本家庭音楽会の本曲の他,地唄・筝曲の一連の楽譜が紹介されています.また販売している尺八目録も掲載されていて,1円から50円の範囲です.また,調子笛の使用が薦められていて,乙音用および甲音用が共に1円80銭です.

第壹編
第一章 總論
 第一 尺八の沿革
第二 尺八音の特徴
 第三 尺八に於ける各流派
第二章 尺八に關する樂典大要
 第一 音とは何か
 第二 音の高低
 第三 音名
 第四 尺八音譜の説明
 第五 長さ異なる尺八の音律比較
 第六 拍子獨習法
 第七 尺八に於ける拍子記號
第三章 尺八吹奏法
 第一 尺八の取扱法
 第二 尺八の消毒法
 第三 説明付姿勢圖
 第四 尺八の發音法
 第五 如何にせば美音を發するか?
第四章 基礎音の練習曲
 ◎本練習曲の目的
 第一 開放音の練習曲

第貮編
第二節 「メリ」「カリ」音の説明
◎半月の説明
第三節「ツ」の「中メリ」音の練習曲
第四節「ツ」の大メリ及「ウ」と「チ」の「メリ」音の練習曲
第五節 リの「大メリ」音の練習曲
第五節「ロ」の「メリ」音の練習曲
[質問と回答]
第六章 尺八曲譜
(イ)琴曲に於ける音の「ユリ」方に就いて
(ロ)端歌に於ける音の「ユリ」に就いて
◎節の「コロガシ」及之に伴ふ特種手法の説明

第參編
◎追分節に就て
◎追分節の特種手法
◎六段に就て
◎「ナヤシ」の吹き方
◎美音の極意及如何にせば見事に吹奏し得るや

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«村治虚憧(邦一)(1928, 1934)「尺八讀本 附独習用楽譜 改訂増補三版」